〜「人と組織の強さ」が、企業の成長を左右する〜
エンゲージメントを高める
ための、たった一つの考え方

『人と組織』の強さが、企業の成長を左右する

株式会社スタメンで執行役員をしている森山です。TUNAGで提供するエンゲージメント経営の責任者をしています。「人と組織の強さが、企業の成長を左右する。」この考え方のもと、スタメンでも日々事業運営をしているのですが、2度、過去に経験してきた事業において、「人と組織の強さ」によって、事業が大きく大きく飛躍し、成長した経験があります。

1つ目はある事業がまだまだ小さい立ち上げ時の頃。人数も40名程度だったと思います。それまではまだまだ事業としても組織としても小さく成長角度もゆるやかでした。僕自身20代ということもあり、とにかくがむしゃらに働いていた記憶がありますが、ある時期を境にして、急角度で事業が成長。拠点が増え、人が増え、組織が大きくなり売上も急激に伸びていきました。

2つ目は逆に事業が傾きかけた時です。順調に成長し続けてきた事業の成長がゆるやかになりかけた時に、急速に下降していきました。一気に前年を大きく割れる結果となり、事業自体の存続も危険視されるように。そんな状況下、こちらもある時期を境に急角度で再成長していきました。所謂、V字回復の軌道を歩みその事業はその後再度成長期に突入していきました。

エンゲージメントは、会社がピンチの時こそ、強さを発揮する

上記2つに共通していたのは「人と組織の強さ」でした。

つまり、会社と従業員または従業員同士の相互の信頼関係が強くなったポイントで事業が成長をしていったのです。エンゲージメントは、会社がピンチの時に、むしろ強さを発揮するのが特徴です。

働き方に対する価値観の変化が急激に進む現代において、「人と組織」の強さが会社の長期的な成長を作っていくと僕は確信しています。

・多くの企業さまにエンゲージメント経営のことを知ってもらいたい

・エンゲージメント経営の可能性を最大限に引き出したい

そんなことを、このTUNAGというサービスを通じて、世の中に価値提供をしていきたいと強く強く思っています。これはスタメンの目指すビジョンであり、僕自身が事業運営をする源泉です。その過程で、このコラムがひとつのきっかけになってくれれば……と願っています。


 

エンゲージメントとは?

“エンゲージメントの正体とは”

エンゲージメントは、海外では重要な経営指標とされていることも多くあります。ただ、損益計算書や貸借対照表のように、決まった数字の算出方法があったり、指標の定義があったりするものではありません。

ここで、気になるのは「エンゲージメント診断」の存在です。言葉のまま、「エンゲージメント度合いを計測できる」ものですが、決まった定義がない概念であるエンゲージメントを、どう測定するのでしょうか。

これは各調査会社が、“エンゲージメントに影響するであろう項目”を独自に設定し、定量的に調査を実施しています。もちろん学術的な部分の監修が入っているものもあります。

ただ、前述した通り、決まった定義があるものではないため、各社が捉える概念に対しての調査となっているのが現状です。採点のロジックもサービスごとに異なるため、読み解き方によっては組織状態は変わってくるでしょう。

静的なデータ(診断時点での過去のデータ)で、かつ、ケーキの断面のように切り方によって(見え方)答えが変わるという意味では、どのようにも読み取れてしまう可能性があります。結論を機械的に導くことは難しく、状況に応じて都度、解釈が必要となります。

エンゲージメントをどう解釈するかで同じ数字でも読み取り方が異なる

公式な定義がない概念だからこそ、「エンゲージメントをどう解釈するか」という前提によって、同じ数字でも読み取り方が変わるでしょうし、何をもってエンゲージメントを数値化するのかという点も異なってきます。

エンゲージメントがこの先に一般的になればなるほど、「エンゲージメントが高い低い」という薄っぺらい話ではなく、「自社はエンゲージメントを◯◯◯◯と捉えていて、◯◯◯の施策を実施した結果、エンゲージメント状態が今は◯◯である」というように、各社ごとに、この概念と測定に対して言語化ができるようにならなければならないと、個人的には感じています。

スタメンが考える”エンゲージメント”の定義

弊社が提供しているTUNAGでは、エンゲージメント経営とは、「会社と従業員」および「従業員同士」に相互信頼関係がある状態と定義を決めています。

重要なのは、「従業員同士」という横と「会社と従業員」という縦の両方の信頼関係があることです。そして“エンゲージメントを構築していく序列”にも定義を持っています。

1)会社の理念や方向性(ビジョン)、現状の文化に立脚した「エンゲージメント(信頼関係)」を創り、維持し、拡張すること

2) そうすると、コミュニケーションの増加や、経営への信頼の増加という「状態」が現れ、それにより、従業員満足や会社へのロイヤリティ、離職防止という「結果」が出る

3)そしてこの順番で構築した会社の状態は、たとえ不景気でも負けない強い会社であり、業績や売上向上にも繋がる

図解するとこのようなイメージとなります。

エンゲージメントと従業員満足度の違い

ここで、「従業員満足度」についてもご紹介していきます。どちらかというと今はまだこの言葉の方が認知度が高いのではないでしょうか。

従業員満足度は言葉の通り、従業員が会社に対して抱いている総合的な満足度合です。ESと呼ばれることも多く「Employee Satisfaction」とも表現されます。

従業員が自身の目線から企業のビジョン、仕事の内容、働く環境、職場での人間関係、給与報酬、待遇、福利厚生などの総合的な満足度を定量的に指し示すものです。

エンゲージメントと従業員満足度は似て非なるものです。一見すると似ているようなものですが、両者は圧倒的に異なります。具体的にその相反するポイントは大きく3つあります。

1) 従業員満足度は、一方的なものである

“従業員”の、満足度ですので、従業員→会社と、矢印は一方的に向かっています。あくまでも従業員が会社に対して満足しているかどうかが問われます。対して、“エンゲージメント”は、会社と従業員の相互関係をみているため、どちらか一方の満足度が満たされている状態では決して成り立ちません。

2)従業員満足度は、与え続けなければ維持できない

従業員満足度の対象項目は、概ね「報酬」や「待遇」など、会社が従業員に対して施すものが対象になります。報酬や待遇、環境の上に立脚する形で満足度が形成され、働きがいに結びつくものになります。そのため、一度何かしらを与えてしまうと、与え続けないと維持できないものになります。ですので、継続できなくなると破綻していくリスクがあります。

一方でエンゲージメントは相互の信頼関係のため、一度築かれた関係は急に崩れにくいという特徴があります。それだけでなく、ピンチに強い側面もあります。むしろ究極的にはピンチの局面の方がよりそのエンゲージメントの効果を発揮することになります。

3)従業員満足度は、ゴールがブレやすい

エンゲージメントは、会社が持つビジョンへ同じ方向を向いて進むために、相互の理解を高めていこうという考えに成り立っています。目的が明確ですし、会社の確固たる意思が込められていますので、ブレません。

一方、従業員満足度は、個人の価値観によって左右されるものです。たくさんの給与がほしいという人、給与はいらないからワークライフバランスを大事にしたいという人……。そのため、ゴールが不明確になりやすく、従業員の満足度の向上と、会社の目指すゴールとの関係が必ずしもイコールになりません。それどころか、ギャップが大きくなる可能性すらあります。

エンゲージメントを高めるたった1つの考え方

まずは、知ることから始めてみる

では、どのようにエンゲージメント高めていくのか。当たり前ですが、社員同士がお互いを知ることからはじめてみることが本質的には重要だと思います。

正直『それって重要なことだけど、事業に直結するばかりじゃないし、そもそも自己開示が苦手な人もいるんじゃないか……』なんてことを思ったりしていた過去もありました。しかし、この仕事を通じて多くの企業の事例を目の当たりにすることで、今はその重要性をとても感じています。

お互いを知るだけで、コミュニケーションコスト問題が解決する

一つの例を紹介します。社内異動がとても多い企業がありました。異動がある度にコミュニケーションコストがかかったり問題が起こったりし、時には退職者が出ることもあったそうです。

そのため、異動者と受入部署へのケアにマネージャーが奔走し、ローテーションを実施していました。そのループを長らく続けていた層が、一念発起し、取り組んだ施策は、『社員全員のことを知ろう』という施策でした。自己紹介をはじめとして、拠点間での「普段見えない仕事の様子を見える化する施策」を矢継ぎ早に実施したのです。

すると、今まで顔と名前が一致しなかった他拠点の社員同士がお互いを知り始め、各自の“人となり”も少しずつ見えてくるようになってきたそうです。「社員同士で知っている情報が多くなり、初対面でもすぐにコミュニケーションがとれるようになった」という事例もありました。結果として、問題点となっていた異動時のコミュニケーションコストの問題は解消されたとのこと。

さらに、副次的な効果として、拠点間で自然発生的に情報交換や共有が生まれ、事業への直接的な還元もみえたそうです。

“人となり”を知るきっかけを作ること

とはいえ、なかなか普段の業務の中で上記のようなコミュニケーションの場を作っていくことは難しいのも事実です。特に拠点が多ければ多いほどその難易度は上がります。そのすべてを会社がお膳立てする必要なんてありません。その『きっかけ』になる材料だけ提供していけばいいのです。

朝会で自己紹介コーナーを設けるなどのアナログな施策からスタートしてもいいですし、日々の日報を全体に共有するだけでも効果はあります。懇親会やシャッフルランチなどの枠組みを社内制度として用意するのもいいですね。

エンゲージメントの観点からすると、「知っている総量」が重要なんです。知っていることが増えれば、自然と『共通項』が見つかってきます。共通項があると、どこか人は安心するんですよね。

出身地が同じとか、同じ大学出身、趣味が一緒など、とにかく共通なものがあると、そこを起点としてコミュニケーションが生まれます。コミュニケーションが継続的に生まれる状態が続けば、自然と理解や共感が生まれてくるもの。

その「きっかけ」をいかに会社として用意しておくかがポイントなのです。その仕組みさえ作ってしまえば、あとは自走をしていくものです。ですが、実は、このきっかけ作りの場は、少なくなっています。

システム化や効率化などに代表される、生産性を追求する傾向の裏では、従来会社内にあった多くの“きっかけ”が犠牲になっています。きっかけの場作りは全く目新しいことでもないですし、誰しもが今まで経験したことがあることですよね。

エンゲージメントという言葉を想像すると、近代的で新しい概念のように聞こえてしまいますが、意外と思われるかもしれませんがエンゲージメントを高めるベースは旧来のどこの会社にでもあった『知るきっかけ』にあるんです。

きっかけ作りのプラットフォームとしてTUNAGを使っていただいている企業がほとんどです。そしてそこから多くのコミュニケーションが生まれていて、その集合体がエンゲージメント構築のベースになっています。